ノエルと白馬の王子 菊池たけし 久保田悠羅

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本作はアリアンロッド・リプレイ・ルージュ+1ということになっていますが、ルージュの外伝、「ノエルの白馬の王子」及びゲーマーズフィールドの別冊に掲載されていたリプレイ「魔を貫くもの」が掲載されています。後者のほうが+1です。全然違う話なので分けて紹介しましょうかね。

ノエルと白馬の王子

ルージュのほうはキャンペーンのリプレイということで、1回1回それなりに重たいシナリオが掲載されていますが、本作は非常に簡単であっさりとしたシナリオとなっています。

カジュアル環境では1シナリオのために1PCを作って遊ぶことも多いと思いますので、そういう場合には参考になりそうです。お気楽な中でもセッションギミックの作り方がよく考えられています。

魔を貫くもの

これはランダムダンジョンで遊んだ様子をリプレイにするという非常に挑戦的な企画です。普通リプレイに向く話っていうのはある程度ストーリーのあるものですよね。年がら年中戦っているようなシナリオをリプレイにされても戦術を追うのが大変でしょう。しかし、本作ではこれを可能にしてしまいました。

今回はPCの死亡は上等で、どんどんPCが交代していきます。ちょっと意味が違いますが、T&Tのリプレイ・モンスター人生も悪くないを思い出してしまいました。

アリアンロッドでこういう運用もありなんだなぁと感心したしだいです。アリアンのキャラメイク(フルスクラッチ)はT&TやSWに比べれば重いので、あんまりバタバタPCが死ぬ運用には向かないと思うのですが、サンプルキャラをちょっと改造するっていう方針でいくなら、別に不可能ではありませんね。

まとめ

非常に面白く、参考になるリプレイだったと思います。

猫の手超人王、激闘! ソード・ワールドRPGリプレイ集xS 清松みゆき

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4月からはソードワールド2.0が発売されますので、基本的にはソードワールド最後のリプレイとなるそうです。しんみりしてしまいますね。今はあんまりSWで遊んでないとはいえ、僕のTRPGライフはソードワールドで花開きましたから。

ただし注意して欲しいのですが、このリプレイの内容は僕がやっていたソードワールドとはずいぶん違ったものです。このxSではVEコンバットというスクエア戦闘のルールが用いられていますが、僕はこのルールで遊んだことはないのですw。特にこの最終巻ではそのVEコンバットでの大規模な戦闘が売りとなっていますので、SW者としてこのリプレイを楽しめたのかというと少々疑問が残ります。

まぁVEコンバットでも、ドクターモリブのいやらしい”はめ”はたしかにSWっぽかったですw。これはあんまり褒められたところではないのですが、SWはルール解釈が曖昧なところがあってマンチキン的な戦術が存在するんですよね。SW者はライトやダークネスの取り扱いで揉めた経験があることでしょうw。SWではそういった工夫をすると苦戦しそうな相手でもけっこう一方的な展開になるのが、楽しいところです(こういうマンチキンな解決法を推奨する考えは間違ってるかもしれないけど、SWって他のシステムと比べた場合単にHPの削りあいの戦闘をするのが楽しいゲームではないと思う)。

そして清松みゆきが執筆する本リプレイはやっぱり”古き良きTRPG”を匂わせるところが個人的には好きですね。ギルドの陰謀に巻き込まれて各組織の思惑を読んだり…。最近あんまりそういう種類のセッションはしてないですね。というのもこういうセッションではその世界の常識に詳しくなくてはならないのでめんどくさいし、そういう面子を集めるのがさらに大変だからなわけです。今こういうセッションをしようとは思わないのですが、この雰囲気は懐かしくて好ましかったです。

さて、それはいいんですけど、本作のシナリオが参考になるかというとあまりなりませんw。特にいかんのはリドルを使ったセッションは最悪でばっちり失敗していますw。まったくもってわかりにくいリドルですよ。問題が難しいこともあるし、リプレイでの記述も足りないと思います。まぁ泣く泣く記述を削ったのかもしれませんけど。

また、どういう読者を想定しているのか知りませんが、ダイス目がレアなことを分散のσを使って説明するのもふつーわかりませんよw。困ったものです。ちょっと僕が補いますと今回30D6を振って平均より3シグマ下ぐらいの値がでるのですが、その値以下になる確率は0.15%程度で1000回に一回ぐらいの確率でしかありえないのです。

このようにプレゼンテーションとして、あまり行き届いたシナリオではないのですが、やはり最後の戦闘はかなり派手ですし、SWの最後のリプレイとしての華はあると思います。そもそも、清松氏のスタイルはシナリオに山ほど記述するタイプではないそうですが、山ほど書き込まれたシナリオが見たいならシナリオ集を読めばいいのです。あまりシナリオを書きこまないときに”何を気にするのか”がこのシリーズで十分伝わってきました。最後の巻がことさらその目的に叶ったものではありませんが、このシリーズは価値のある情報を発信したと評価して良いのではないかと思います。お疲れ様!