チーム・バチスタの栄光 海堂尊

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

もう評価の決定している名作ですが、文庫本になりましたので読みました。けっこう前から気になってはいたのですが、積読消化の関係でこんなに遅くなってしまいましたね。

本書は第4回”このミステリがすごい!”大賞に輝いた作品で、4人の審査員(大森望 香山二三郎 茶木則雄 吉野仁)も絶賛しています。今となっては知名度が逆転し、”このミステリがすごい!”はチーム・バチスタの栄光を見出した賞ということもできますね。

さてそんな作品ですので、つまらないわけはない。非常におもしろかったです。

まず、本作は医療現場を舞台としているため、通常のミステリとは”密室”の様相が異なります。複数人でお互いの仕事を監視しているという意味で殺人が不可能になっています。殺人は不可能。誰かが事故を起こしたとしても、やはり互いのチェック機構を逃れられない。
こうして密室の様相が違うことにより、”ミステリのお約束”から離れた推理が必要とされ、それがあまりミステリに親しんでいない読者にも魅力的になっています。あんまりにも”ミステリの基礎知識”が要求されると、初心者には難しくなってしまいますが、それは本作にはありません。

あと、やはり本作の魅力は登場人物にあるのではないでしょうか。本作は上下巻に分かれているのですが、それが良いギミックになっていますね。前編と後編でのリズムの違い、人の描かれ方、非常にエキサイティングでした。

まぁ、いまさらこんな場末のブログで褒めてもしょうがないほど、評価の決定した名作であると思われます。当然オススメですよ。