虐殺器官 伊藤計劃

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

圧倒的でした。

こんなにも叩きのめされたのは、僕の読書経験ではサリンジャーのキャッチャーインザライ(村上春樹訳)以来です。

本書はアメリカ政府に勤め、紛争解決のために要人の暗殺を生業とする主人公が自分の仕事や母親の死について内省を重ねながら、紛争地域に現れる謎の米国人ジョンポールを追うSFです。

激化するテロリズム、監視カメラで四六時中見張られないと安心できない社会など、現在の社会情勢と地続きの世界観で考えさせられる内容です。

著者は鮮鋭な書き手で、若くして亡くなったことが非常に悔やまれます。