スマガ Nitro+
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昔Liar SoftのAngel bulletのムービーをニコニコで見ていたとき*1、Angel bulletとスマガは二大”うんこゲー”であるというコメントがあったので、それに惹かれて遊んでみました。何言ってるんだか分からないと思いますが、Angel bulletにおいて”うんこ”という言葉はすごくかっこよいシチュエーションで使われていまして、”うんこゲー”というのは決してつまらないゲームという意味ではないのです。
勢いあまってファンディスク的な続編、スマガスペシャルまで遊んでしまったので二作まとめてレビューします。
まず、ムービーがいいですね。あくびの戦士がふぁーって大槻ケンジが歌ってますよ。ムービー自体も普通のギャルギャルしたムービーとはちょっと違った印象です。
さて、本作品はセカイ系であり、ある意味アンチセカイ系であり、ループ物…という2000年代にエロゲで流行った要素がてんこ盛りですが、主人公がものすごいポジティブで、そこが他のゲームとはだいぶ違った印象です。
またループ物を使っていることもあり、物語の構造が凝っていまして、最近書いているTRPGにおける物語の考察にもだいぶ参考になっています。スマガスペシャルのほうは少々退屈なところもあったのですが、少なくともスマガはおもしろかったですね。
さて、あとはネタバレ感想なので聞きたくない人はこれ以上読まないようにw
セカイ系
スマガの一番最初のシナリオ、She May Goが個人的には一番好きです。このシナリオはセカイ系でして、魔女のヒロインが世界を終わらせる悪魔と戦うのですが、世界を救うたまにはヒロインが犠牲にならなければならないというお話です。こういった話では、主人公と世界を守ろうというヒロインの悲壮な覚悟が泣かせます。僕はスピカ(赤い髪の娘)が好きなこともあってかなり好きな話ですね。
アンチセカイ系
ところがどっこい、セカイ系に見えてきた世界は実はヒロインがそう信じているからであり、ヒロインの世界観さえ変われば犠牲をださず悪魔を倒せるという話になっていきます。
ただ、信じている世界観を変えるのって案外難しいですよね。例えば涼宮ハルヒもなかなか自意識を変えられないですしw。
よく、青年が自分の自意識に悩まされながら大人になる道を探す話ってあるじゃないですか、でもこれって自意識を密室に例えると、犯人も自分、被害者も自分、探偵も自分であるような探偵小説にて密室の外にどうやって出るのかという話だと思うこともできます*2。そう思うとなかなか難しいなって思ったり。
この手の話で一番の手段は恋人という他者に外から密室を開けてもらうことなんでしょう。
ループ物
このゲームは、ループというギミックを使って人生リベンジというテーマをあらわしています。ループ構造をつかえば失敗をやり直せますからね。
そのループで一つ面白かったのは、ループを経験している人間とループを経験してない人間は恋愛できるのかという問題です。ループ者にとって非ループ者っていうのはワンオブゼムになってしまいます。ループ者にとって非ループ者は代えのきく相手になってしまうんですよね。そこには恋愛が成立しないのではないかというのは、おもしろい問いかけでしたね。
ループ物2
このゲームは主人公が死んでも、意識を保って死んだ日の朝からやり直しがきくのですが、そういうループのもう一段上にもループ構造があります。それはある意味神さまの立場でして、ぽこぽこと主人公を生み出しては観察しています。そして、そのループは悲劇が作り出しているっていうのは面白いところです。物語を終わらせないために、悲劇が必要というのは、失敗したからやり直すというのとは逆の構造なんですね。おもしろかったです。