ダブルクロス The 3rd Edition ルールブック1 と メタ情報

ついにダブルクロスも文庫になって、買いやすく持ちはこびやすくなりましたね。

ダブルクロスは、そのコンセプトが気に入っているシステムなのですが、実はコンボを組むのが苦手でして、データ面のいろいろな変更などは紹介できません。僕はそれ以外のところで気になったところを紹介することにします。

『はじめに』に書かれているゴールデンルールやセッションの目的、ゲームの勝敗などは踏み込んだ記述になっていますね。そして『ルールセクション』のシーン制の記述などもだいぶ明確な手続きとしてかかれるようになりました。また、『ゲームマスタールール』でうまくGMをするためのちょっとしたコツが書かれているのもいいと思いました。


ステージの概念は、ダブルクロスがある意味汎用世界観のシステムだということを念頭におくと理解しやすいかもしれません。ルールブックではゲームの背景世界に関するプレイヤー間の知識の格差が、ゲームプレイに支障をきたす可能性を指摘し、あらかじめステージをプレイヤーにつげることによりその格差を減らすことを推奨しています。ちょつと抽象的な言い方で具体的な状況が見えないかもしれませんが、どのTRPGでも「そんな行動は世界観的にありえなくないか?」というツッコミを誘う言動が世界観に関する知識や思い込みの差から生じます。ダブルクロスの場合、今はK市のみですけど、あとでどんどん増えていくと、世界観の理解に必要な情報が膨大なものになりますね。そこで事前にステージがわかれば、そこだけ予習することができるのでこういった知識の格差を平均化することができるように思われます。


そういったわけで、僕はこのダブルクロスのルルブには好意的なのですが、実は不満もあります。GMが読むべき箇所にはルール以外の心構えなどが多く書かれているのに対し、プレイヤーが持つべき心構えについてはあまりかかれてないように思うのです。単なるミスだと思いますが、3ページの目次と23ページのはじめにで、章立てが異なっており、はじめにでは”プレイヤーセクション”として紹介されている箇所が目次では”キャラクターセクション”となってプレイヤーセクションはありません。

ダブルクロスでは、プレイヤーが”メタ情報”の取り扱いに困ることがあると思うのですよね。メタ情報というのはトレイラーやハンドアウトなどプレイヤーには公開されているもののキャラクターは知らないはずの情報です。こうしたメタ情報を元にするとプレイヤーはストーリーの指針を得やすくなり、ストーリーに介入しやすくなるのですが、その意味の説明が不十分だと思いました。シーンプレイヤーという概念に関しても、シーンの責任の所在をはっきりさせることにより、自由な演出をするための技法だと僕は解釈していますが、そういったルールの意味の解説もあるとよりよいルールブックになったのではないかと思います。

ちなみに、こうしたメタ情報のうまい取り扱い方に関してはネットで読める資料では以下が詳しいです。F.E.A.R.のゲームの遊び方がいまいちしっくりこない方は一読をオススメします。