F.E.A.R.の良さ
今日は雪だるまさんが苦手にしているというFEARの、良さについてのお話。書くと意見がまとまるってのがあるので、自分の頭の整理をするための文章です。
ドラマツルギー*1を手軽に!
F.E.A.R.の良さとしてすぐ思いつくのは簡単にドラマを作れる方法を提示したってことだと思います。今、ちょうどハンドアウトを使ったセッションをしようとしているので、こういう問題意識があるんでしょうね。
TRPGのシナリオをドラマチックにしよう!っていうのは10年以上前から言われていた話で、僕が持っていたシナリオ作成のための参考書*2にも載っていました。載ってはいましたが、僕には全然使いこなせませんでした。今読んで、初めて使ってみる気になります。この本の内容の一部分を紹介してみます。
対立の構図
ドラマチックなシナリオには”対立”が必要
2極関係
- 2極対立
- 2極競合
3角関係
- ジレンマパターン1(協調+協調+対立)
- PCと協力者A,Bがいて協力者どうしで対立している
- ジレンマパターン2(協調+対立+協調)
- PCと対立者に対してどちらとも友好的なく協調者がいる
- 勧善懲悪パターン(協調+対立+対立)
- PCと協調者に対してどちらにとも対立する対立者がいる
- 混戦パターン(対立+対立+対立)
- PCに対立者が二組いてその組どうしも対立している
- 2極競合バリエーション(対立+対立+競合)
- 三つどもえパターン(競合+競合+競合)
こういったさまざまな対立パターンを図示してくれているのですが、勧善懲悪パターンに比べて、他のパターンは1ランク難しいように思いますね。それなのに勧善懲悪パターンが3番目に来ています。このあたりの強調の仕方もまだ整理されていませんでしたし、例えば村人に依頼されてゴブリン退治をするというのもこの勧善懲悪パターンですけど、ゴブリン退治ってドラマチックか?とか疑問が湧きます。僕が中学生だったこともあるかもしれませんけど、これはさっぱりつかめませんでしたね。今考えればなぜゴブリン退治がドラマチックではないのかというと、ゴブリンが村を襲うシーンがないのと、依頼というお金のやりとりで協調関係を作っているからだと思いますね。村にすごく大事なものがあって、それを守ることにするとゴブリン退治もドラマチックになるかもしれません。
それが、例えば、先日紹介したアルシャードガイアのルールブック*3には”ヒロイン”を使ったシナリオの作り方が非常に分かりやすく書いてあります。これは今紹介した勧善懲悪パターンに分類されるシナリオの作り方です。しかし、協調者の名前を”ヒロイン”に変えるだけで、なんかドラマチックになってきたと思いませんか?先の本でも勧善懲悪パターンという名前じゃなくて、勇者―姫―ドラゴン、パターンとでも言えばよかったのです。
F.E.A.R.のシステムはこのPCやNPC間の結びつきを規定するルールがあることが多く、遊びながら、自然に人間関係の変化がドラマを作るってことが学べます。
また、先ほどのように、勧善懲悪パターン(協調+対立+対立)ですって言われて分からないのは、協調、対立、対立という関係性を”作る”ところがセッションなんだってことです。FEARのシステムでは、Opening,Middle,ClimaxなどPhaseを分け、MiddleでPCとヒロインの協調、ヒロインとボスの対立を作ることでPCとボスが対立関係になるという構造を誰にでも分かるように、説明してくれています。
また、この時間変化という概念が分かって初めて、先ほどのジレンマパターンとかの使い道がわかってくるのだと思います。最初はジレンマパターンだったとしても、それを勧善懲悪パターンに変化させる!それがシナリオの内容なのです。つまりFEARのルールブックはドラマツルギーの一番基礎的な部分の教則本になっているということです。ルールブックを読んでいるだけで楽しくなる。それがF.E.A.R.のいいところですね。
追記 シナリオ展開に別名をつける
勧善懲悪型→勇者、姫、ドラゴン型でイメージがわきやすくなることを踏まえて、ジレンマ型の名前も変えてみます。
ジレンマ1→両手に花パターン
主人公に二人のヒロイン、ただしヒロイン同士はいがみ合ってる。
展開として、主人公が片方のヒロインを選んで、もう片方のヒロインが主人公に敵対すると勧善懲悪型の配置になる。この展開は少々後味が悪いのでフォローが必要かも。
もうひとつ展開として二人のヒロインの対立を協調に変えてしまうという考え方もある。両手に花パターンからハーレム型…どこのギャルゲーの話だ!
ジレンマ1→世界と私どっちが大事なの?パターン
ヒロインは抽象的なものでもよいと思うので、世界平和とヒロインの救出が同時にはできないというもの。ヒロイン選んで世界が滅びるとちと問題。たまにはいいかもしれないけど…。